1勝100敗 婚活回想録

婚活体験談をおもしろ、おかしく書いてます

理想な女性との出会っちゃった その1

俺は愛車のブラックウルフを、都内某女子大学前に停車させた。ブラックウルフというと、海外のスーパーカーかと考える方もいると思うが、なんてことはない、ただの国産車だ。

 時計を見ると、待ち合わせの時間まであと20分ほどといったところだ。あと20分もすると、そこの大学の門から待ち合わせした彼女、智子ちゃん(仮名)が出てくる。俺は智子ちゃんと出会った1年以上前のことを思い出していた。

 

1年以上前だっただろうか。当時、都心で働いていた俺は都心で働く女子と出会いたい!!と強く望んでいた。そりゃそうだろう、俺が働いていた場所は都心の中の都心であり、美人系のキャリア女子や、ゆるふわ系の可愛いOLちゃんが闊歩している場所なのだ。そんなところにいれば、そういう女子達にお近づきになりたいと、誰だって思うに違いない。

そんな中、その地域のハイブランドジュエリー店の店員さんたちと合コンをする機会が訪れたのだ。

都心=高級店多い=ハイブランド店多い=ハイブランドの店員可愛い=合コンしたい 

という、少し強引な図式というか思い込みがあったために、相当人脈作りに奔走して実現した合コンなのであった。

 

この日の俺は、落ち着いて仕事をしていられないということは、簡単に想像できると思う。俺は時計をちらちらみながら、合コンの時間を気にしていた。雰囲気が良く女子なら喜んでくれそうな店を予約済だ。俺は常に「合コンで使える店」リストをアップデートしているので、いつ合コンになったとしても悩むことはなかった。

当時の俺は、週に2回ほど合コンしていた。合コンの日の昼食は(ランチというお洒落なものではなかった)、臭いがつく焼肉系はNGであったし、汁物も食べないように心がけていた。それくらい、合コンに気合を入れていたし、そして合コンというイベントにハマっていた。

 

ちなみに、最近その店リストを見てみると、ほとんどの店が閉店されてました。店名が変わっていたり、新しい店になっていたりなので、都心のスピードに追い付くのには相当な努力が必要だなと、改めて感じました。

 

3対3の合計6人で予約した店は、予想通り女子ウケはよかった。意外だったのは、彼女たちは誰一人この店の存在を知らなったことだ。毎日、この地域で働いて、合コンも多そうなのに。結果、みんな私のことを、いいお店を知ってるお洒落な人と思ってくれたことだろう。

参加していた智子ちゃんは、都心の美人女性であった。すらりとした身長にmカールがかかったロングヘアにばっちりメイク、黒いノースリーブのワンピースに、はっきりわかる胸の膨らみ。都心での合コンを絵に描いたようなファッションだ。

 

 

これだよ、これ!!!俺が求めていた合コンは!!!!

俺の予想通りだ!!!

 

 

開始5分で、大興奮の俺だ。友達も智子ちゃんの胸の膨らみに釘付けのようだ。

他の2人の女子も可愛いのだが、智子ちゃんがひときわ目立って見えるのだ。

この合コンはあたりだ!あとは、上手くやって彼女の連絡先を聞かないと!そして何より、俺の横にいる獣化しようとしている、男連中を蹴落とさないといけない。

智子ちゃんは、残念ながら俺の席から一番遠い。彼女の目の前のK君が、ビール片手に智子ちゃんと仲良く喋っているのを横目に、目の前の恵那ちゃんと喋ることにした。絵里ちゃんは、面白い表現を絶妙なタイミングで繰り出すので、些細な話も、大笑いしてしまう。

恵那ちゃんの話は、楽しいのだが智子ちゃんとも仲良くならなくてはならない。

 

 

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コンビTとの再会 その4

俺たち3人は、会場となるイタリアンレストランがある、最寄駅で待ち合わせとしていた。

このイタリアンレストラン、本当に評判が良く予約が取りづらい。食べログでも高評価なので、お友達同士でも是非行っていただきたいお店です。

 

待ち合わせの10分前に到着した俺は、脂取り紙で顔のテカリを抑え、そして髪型を整えた。大した顔でもないので、何かが特別に変わるわけではないのだが、本人の気持ちが入れ替わるので、良しとしよう。

2人に到着した事をLINEで連絡をするのだが、既読にすらならない。まさか、まだ仕事中なのか!?しかも同時に2人とは、それは困るぜよ。

電車が駅に入ってくる音を聞くたびに、ホームへの階段を見つめるのだが、2人が来ることはなかった。

 

時間を確認すると、移動しないと遅刻というタイミングまで来てしまった。俺は2人に先に行く旨をLINEで連絡して、小走りで店に向かった。

せっかくのエルサとアナの会なのだ。俺の苦労を無駄にしてはいけない。あいつら、絶対この苦労なんて知らないだろう、俺がどれだけこの会に賭けているのか、全く理解していない!!ひどすぎる!!

…まぁ、言ってないから仕方ないかもだけど。

 

俺はジムで鍛えているから、ちょっとやそっと走っても、息を切らすことはない。タッタカタァーというリズミカルな走りで、少し遅れたが到着した。

エルサたちからしたら俺は遅刻した人間だ。遅れて申し訳ないという気持ちを出す為に、あえて息を切らす演出をすべきか?それとも、余裕がある大人っぽく、正々堂々と入るべきか?

悩む。

まだ、悩む…

 

結局のところ、どうでもいいやとなり、俺はお洒落なデザインでできたドアをよっこらせと開け、店員に席を案内してもらった。店内には美味しそうな匂いが漂っている。やはり、この店にして正解だ。エルサもアナも喜んでくれるに違いない。

 

案内された席には、エルサとアナ、そしてもう1人、えーっと、暫定的にクリストフと呼んじゃおうがいる。

本当に嬉しい。やっと、ゆっくり喋れる時間が来たんだ!

分かってもらえますでしょうか?私の気持ち。

 

そして、彼女の前には、男友達2人がいてくれてる。

えっ?

なぜ、貴様ら、先回りして来てるんだよ、おいこら。

来るの遅かったねー、仕事終わらなかったの?

大分早目に来たから、先に来てたんだよねー

つまり、時間通りに来ても、それより前にみんなが来てたら、あんたは遅刻扱いなのです ということのようだ。

うーん、なかなか。

遅れをとってはいけない。俺も急いで飲み物を注文して、乾杯をして、会話に参加した。

 

アナは髪を切っていた。そういうところに気がつけるやつが、勝者となるのだ。俺は髪を切って可愛くなったよねと、彼女のプライドをくすぐるように褒めた。

しかし、切る前がダメでしたという表現は良くない。そこで、俺は「新しい違った可愛らしさだよね」と、髪を切る前後の容姿を褒めるような表現を使うようにしている。こういうのは、普段から職場とかでも、観察して言いまくっていると、いざというとき、躊躇なくサラサラ〜と出てくるので、みんなも練習してほしい。

 

お酒が回って来たのか、実はエルサは大人しいと思わせておきながら、よく喋り、よく笑う女性であった。お互いバカ話をしながら、運ばれてくる料理を撮影しながら、俺とエルサは一気に仲良くなったのだ。他のみんなも、それぞれ楽しそうに喋っている。

盛り上がるが、決してどんちゃん騒ぎにならないのが、俺のやり方だ。もっとも店の雰囲気が、そんな事を許してくれないが。

しかし、待てど暮らせどテーブルの下で彼女が手を繋ぐことを求めたり、足を絡ませてくることはない。

この時の俺は勝利を確信していたので、スキンシップなぞ不要であり、求められない事を不満には思っていなかった。

 

料理も美味しく、お酒も美味しく、そして何より楽しいおしゃべりで、大盛り上がりで会は終わった。

6人は会計を済ませると、駅の方に向かって歩き出す。

エルサとアナとクリストフは、3人で腕を組み横一列で楽しそうに歩いている。

俺はこのような光景を、過去に何度も見ていて、それが何を意味しているのかも理解していた。

これは、今日の合コンの男たちはつまらんかったぜという印なのだ。

つまり、エルサからすると俺は不合格なのだ。

ちょっと待ってくれよ、5分前にみんなで、楽しくLINEのグループ作っただろ。

タチの悪いジョークなら、その辺でやめておいてくれよ。笑えないぜ、全く。

俺は動揺を隠しながら、なんとかみんなと楽しく喋り、そして解散した。

 

この合コンから数ヶ月経過しても、エルサもアナもクリストフからも連絡は来ていない。

きっと氷にされたままなんだろう。

 

コンビTとの再会 その3

コンビTこと、エルサとアナの連絡先を無事に手に入れた俺は、この日駅までスキップをしながら帰ったことは、多くの参加者の中で噂になっているようだ。念願の連絡先入手だ。

昔、何かの本で帰宅途中で、お礼のメールを送ることという話を読んだことがある。俺は素直なので、それをそのまま素直に受け取って彼女たちにLINEをすることにした。ここで、気持ちだけで送ると失敗をするので、俺は少し考えた。

エルサにもう一回会いたいが、彼女はアナにくっついてもの静かにしていたので、ストレートに誘っても来ない可能性がある。

一方で、アナはこの調子で行けば合コンという名目で引っ張り出すことができそうだ。アナが合コンに来ればエルサも芋づる式で来るに違いない。俺はこの見事な作戦を遂行すべく、彼女たちに、それぞれLINEを送った。

アナには、楽しかったこと、またみんなでワイワイやりましょうという、どこにでもあるようなLINEだ。

エルサには、そこまでたくさん話せなかったので、今度また話をしましょうというやつだ。アナとエルサは通じているので、俺のLINEについて話をするだろう。

 

どうでもいいが、俺はLINEのプロフィールの写真を、いつもまじまじと見てしまう。過去の投稿や変更した写真も見てしまう。これで、その人がどういう人なのかを推測するようにしている。ツムツムにハマってるのかとか。

ここで集めた情報は、全く役に立たない。

 

翌日、彼女たちから返信が来た。

俺のこの天才的な作戦に、彼女たちはまんまとひっかかった。アナからは合コンについ前向きな内容の返信があり、エルサからは、またよろしくという社交辞令な内容であった。

こここまで来たら、一気に突っ込まないといけない。気分を高揚させるために、俺はレッドブルとリポビタンDを飲み干し、ブルのごとく彼女たちに突撃した(合コンの設定をした)。

ちなみに、レッドブルを飲んで翼を授かったことはない。モンスターエナジーを飲んでも、何か変わったことはない。個人的にはもう少しパンチが欲しい。

 

とんとん拍子で日程と店が決まっていった。場所は、予約を取るのが難しいイタリアンの人気店を選んだ。しかし、大人気というほどではない。ただ、店が狭いだけだ。しかし、本当に美味しいのでそういうことにしておこう。店の選択は幹事のセンスが現れるので、俺は細心の注意を払っている。食べログの評価だけでは、偏るために多くのサイトや雑誌からも情報を集めるようにしている。しかし、上には上がいるもので、知り合いI君は、お店の下見にまで行っているという。

 

さて、3対3の合コンなので、俺は2人を連れて行かないといけない。イケメンでなかなか良い仕事に就いているY君に連絡をしたが都合がつかないという。合コンより優先すべき都合ってなんだよ!!俺なんて合コンがある日は、仕事を早退して行くっていうのに、Y君のこのやる気のなさは。情けない。いつも、合コンに呼んでくれっていうから、声をかけてやったのに。

俺は何かの勧誘のごとく、片っ端から男友達に連絡をした。

「合コンに行きませんか~?合コンに行きませんか~?」

これで1人を見つけられた。

ところで、合コンの人集めは、多くの条件・縛りがあるため非常に難しいということをご存じだろうか? 以下が合コン7つの戒めというもので、これを守らないと大変なことになる。いくつ該当するのか、皆さんも確認してみよう。

 

合コン人集めルール~合コン7つの戒め~

  • キャラクターを被らせてはいけない。
  • 全くしゃべらない人を呼んではいけない。
  • イケメンは最低1人は入れないといけない。
  • 起爆剤となるトークが面白いやつを呼ばなくてはいけない。
  • 女子の好みが俺と同じやつを呼んではいけない。
  • 俺を持ち上げるやつを呼ばなくてはいけない。
  • お金にせこいやつは絶対に呼んではいけない。

 

1~2個:合コン横綱です。

3~5個:合コン親方です。

6~7個:合コン理事長です。

 

尚、これは俺が勝手に作っているものなので、実際のところは分からない。

女子が合コンで人を呼ぶときのルールがあれば、是非教えてください。

コメント欄でお待ちしてます。

 

偉そうに述べている俺だが、不覚にも上記の条件を満たすやつを探すことはできなかった。世の中、そんな都合よく行くわけがない。

しかし、遠くの独身男性より近くの既婚者ということで、この状況をどこからか聞きつけた既婚K君が、「独身」と称して参加したいと名乗り出たのだ。

既婚男性を参加させるのは、モラルに反するが7つの戒めには該当しない。K君は、以前も偽名を使い独身で参加したことがあるほどだ。俺は開き直ってK君を呼ぶことにした。これで3人揃った。Perfumeのごとく俺たち3人は当日、集合することとなった。

 

続く。

コンビTとの再会 その2

俺は、コンビTとは後で確実に再会できるということを信じ、目の前の女子達に集中することにした。同じグループの男2人にお構いなく、俺は喋った。いつも用意しているスタンダードな話題を出しつつ、時折エッジが利いたジョークを繰り出した。女子達も準備していた愛想笑いと、それ相応の相槌をうち、表面上は盛り上がっている場を演出していた。茶番ではないか。こんな茶番のために、会費払ってるんじゃねーよ。金返せ。

 

あと5分あるから、とりあえずなんかしゃべらないとねー。

そうだよね5分って意外と長いよね。

誰かなんか話題出してよ。

というあからさまな会もあったほどだ。

ここまでくると、男女が一致団結して「残り5分をどう耐えるか?」という共通目標に向かっていくことになる。下手に気を遣って喋るより、こっちの方が親近感が湧く。

BBQ合コンみたいな感覚だ。この場には炭火も焼け焦げた肉もないけど、俺たちは「残り5分」というトウモロコシが完成するのを、じっと火を見つめて(グラスを見つめて)待っていた。

 

各テーブルを訪問するごとに、社交辞令として連絡先を交換した。俺はその中でも何人か「もう少し話してみたい」女子を見つけ、LINEの連絡先交換をした。

このLINEの連絡先を大多数の人間と一度にやると、誰が誰だかわからなくなる。10分おきに数人と連絡先交換するので、全部覚えるのは至難の業だ。だから、俺は、気になる女子のLINEの名前の後に、特徴や話したことを追記するようにしている。

たとえば「ゴウコン スキコ」なら、「ゴウコン スキコ ブログの話」と入れておけば、あとでLINEが送りやすくなり、そこからまた盛り上がることができる。女の子が俺に興味を持っていない場合は、こんなことが起きるはずはないということは、今日は忘れてもいいことにしよう。

 

そして、ついに、俺はコンビTのテーブルに辿り着いた。

鬼が島に着いた桃太郎だ。2人しかいなかったけど、犬と猿と雉は使い物にならなかった。聖闘士星矢なら、12宮全て突破して教皇の間に辿り着いただ。

ドラクエに例えるなら、…さすがにもういいや。

この時、俺は切り出し方で少し迷った。「お久しぶりです」がいいのだろうか?それだと、前回良い印象を与えていなかったとなると、マイナスからのスタートになる。これは避けたい。それとも、以前会った時から日が経過しているので、すっとぼけて「初めまして」がいいのだろうか?

この時の、懸念は「以前会ったよね?」という返しが来た場合だ。

 

「こんばんは」がシンプルだろうか、「初めぶりです」「お久しまして」という、意味不明な曖昧な言葉にしようか?いや、後半の2つはバカと勘違いされる。

なので、俺は「こんばんは」にすることにした。

しかし、コンビTは電光石火のごとく、俺たちに「初めまして」と言ってきた。

俺は彼女たちに忘れられていたようだ。マイナスの印象どころではなかった。俺は前回のパーティでは空気扱いされていた、one of themだった。これはひどい。少し寂しいが、これは逆にチャンスとみるべきだろう。

俺は事務的に自己紹介をして、彼女たちの自己紹介を聞いた。もちろん、既に知っているから、驚きも何もないのだが、ところどころで興味があります!と臭わせる反応をしないといけなかった。体臭、口臭を臭わせるのは、このパーティではご法度になっていることを、あとからパーティのスタッフから聞かされた。Tシャツ男が途中で帰ったのは、これが原因だったようだ。

 

俺は遂に温存していたパワーを全開にしてハッスルハッスル~♪

コンビTは、可愛いくノリがいい子と、美人で少し物静かそうな2人のユニットで構成されている。アナと雪の女王のエルサとアナの実写版だ。

アナは話しやすいので、今後デートに誘っても楽しくなる自信がある。エルサの方は俺好みの美人だ。俺はどんどん2人としゃべったが、アナとエルサに「俺は余裕がある大人の男性ですよ」アピールもしないといけないので、一緒に回っている男2人にも話をさせるチャンスを与えた。男2人は不慣れながらも、一生懸命頑張った。そして、俺は彼らをサポートしてあげた。俺の印象が良くなるために。ほら、俺ってえらいでしょ?

 

なぜか長いと感じた10分をクリアして、俺はコンビTの連絡先を入手した。俺は遂にやり遂げた!富士山にもエベレストにも登ったことはないが、それ以上の達成感だ。もっとも、つまらなくても各テーブルの異性とは連絡先交換がマナーなので、だれでも入手できるのだが。

コンビTとの再会 その1

俺はこの日、都内のお洒落なパーティ会場にいた。会場の雰囲気に負けないように、そしてダニエル・クレイグも嫉妬するほどに、ビシッとスーツを着ていた。久しぶりの異業種パーティだ。俺の佇まいに圧倒された周囲の人々は、羨望のまなざしを俺に向けている。しかし、それは俺の勘違いだ。

早く会場に着きすぎたので、準備で忙しいスタッフが走り回っているだけだ。

 

俺は映画のワンシーンのように、ドリンクを注文してその間に周りを物色した。この時に忘れてはいけないのは、カウンターに腕を置き、身体を預ける姿勢を取ることだ。カウンターの前でビシッと立っていると、ファミレスのドリンクバーになってしまう。コーラとオレンジジュースを組み合わせて喜んでいてはいけない。

パーティの案内状には「お洒落な格好で来てね」って書いてあったのに、Tシャツとくたびれたパンツで参加している男がいるではないか。これはルール違反だ。もしかしたら、敢えて狙ってTシャツを着ることで注目を浴びようとしているのではないか、俺以上に姑息な男だ、今は11月だ。季節感とか出してくれよ。

一方、女子はどうだろうか?

みんな、思い思いに着飾っている。やはりパーティはこうじゃないと面白くないだろ、スーツ着て来て正解だった。素敵な場所には、それ相応の装いが必要ってやつだ。

結婚式では白を着て、お葬式では黒を着て、還暦のお祝いでは赤を羽織る。

ちなみに、今日はお葬式ではないが、黒のスーツだ。

 

 

俺は光輝く女子達の中に、見覚えがある2人組の女子を見つけた。あの2人を忘れるわけがない。過去、パーティで出会い、連絡先を聞けず涙したあの2人だ。今日の目標は、あの二人と仲良くなり、次につなげることだ。

戦闘指揮官の、「前方の女子二人に総攻撃開始!!」の大号令で一気に、突撃を開始しようとした矢先、現場から報告が入った

「男性はグループを作って、グループ単位で女子がいるテーブルを回る進め方になっています」

 

なんてこった。試合開始後(乾杯後)、俺はイノシシのごとくコンビTを目指そうとしたが、そこまで世の中は甘くなかった。

俺は単独参加だから、グループを作れとは言われても組む相手もいない。

幹事の粋な計らいで、俺はTシャツ君とは別のグループになったものの、ぱっとしない二人組と同じグループにされていた。

各女子テーブルの滞在時間は10分弱だ。コンビTのところは8番目か9番目だ。時間としてはぎりぎりだ。移動とかでもたついて打ち切りになれば、俺の恋は強制終了になってしまう。恋の電源ボタンを長押ししても復帰できるかは分からない。

 

時折、聞こえるコンビTのテーブルからの楽しそうな笑い声。俺は彼女たちの席を見返しながら、彼女たちと談笑している男たちに口惜しさと恨めしさで、胸がいっぱいだった。いや、これは実に大げさな表現だ。でも、気持ちは分かってもらえるじゃないかな。

俺はコンビTの席を気にしながらも、目の前の女子達との会話を楽しんだ、いや楽しんでいるように見せていた。しばらくは、同じグループの男2人に任せておけばいいやと、安心して俺は大船に乗っていた。この大船、は実は泥の船であることに、俺はまだ気がついていない。

数杯目のドリンクのお替りをもらって、テーブルに戻ると場が白けてるではないか。時既に遅し!泥の船が崩れ転覆していた。小さいころに好きだった童話のかちかち山の狸と同じだ。この雰囲気を戻さないといけないし、この後回るテーブルにも迷惑をかけられない。俺は場を盛り上げる使命感に火がつき、背中に火がつき、そして本当のかちかち山になった。コンビTの席まであと8席。

続く。

大金持ち令嬢Mちゃんとの今後を考える。

偶然とはいえ、大金持ちのお嬢様と付き合っていた俺は、彼女との今後の付き合い方を考えてみた。大金持ちの人と結婚したら、経済的に楽だから、俺は将来金持っている女の子と結婚するぜ、なんてことを冗談交じりに言っていた時期があったが、今まさにその瞬間が訪れているのだ。

素晴らしい!神は俺に味方をしてくれた。この調子で、引き続き俺を手伝ってくれよ、頼みますよ。

 

その一方で、お見合いという場で知り合った女性なので、付き合い方、アプローチ方法は合コンとは全く違うことは、もはや誰でも知っている。

ということで、将来の付き合いを見据えて一度整理してみよう。

 

Mちゃんと一緒にいると、俺は気が楽になれる。

Mちゃんとのデートは楽しい。

Mちゃんは、可愛い。

Mちゃんは、男性に抵抗がある。

Mちゃんは、処女っぽい。

Mちゃんは、のんびりしている。

Mちゃんは、向上心はない。

Mちゃんは、大金持ちの令嬢である。

Mちゃん自身にお金があるかは分からない。

 

ん?

一つ俺の勝手な思い込みがあるな。これは手も繋いでいない仲なので、確認が難しいけど、まぁ間違っていないだろう、そういうことにしておこう。あと、俺の考えは、なかなかどうして、お金の方に向くのかしら。家巣本能で家に帰るように、必ず北を向かう方位磁石のように、どんなに強制しても、俺はお金の方に向かってしまう。

皆さんも、同じ立場に立ったら同じ考えになりますよ、絶対!

 

俺はお金に飛びつく気持ちをなんとか抑え込んで、純粋にMちゃんとのことを考えなくてはならないようだ。付き合って数か月経過していて、そろそろ次の方向性を決定しないといけない時が近づいていたからだ。このシステムって、考える時間も少ないし、本当に焦らしてくれる、絶対ミスするよ、こんなの。

だけど、俺やMちゃんみたいな優柔不断でのんびり派には、さっさと決めんかいっ!と言われた方が、良いかもしれないわな。

 

2人のことなのだから、2人で決めましょうってことで、Mちゃんと相談をすることにした。こういう重い話って最初の切り出すのがきついんだよなぁ。

笑顔で言うのも違う気がするし、重い顔つきだとあっちも構えてしまう。

告白と同じだよな。

俺の頭の中では、ゲレンデが溶けるほど恋したい(by広瀬香美)がノリノリでかかっていた。そしてMちゃんの顔をみるとBig fat money (by Van Halen)がかかり始めた。ノリノリのギターに、サミーヘイガーの強烈なボーカルが俺を奮い起こす。俺もVan Halenに打ち勝つために、いつも以上にシャウトをする。重い話をする前には、大きく深呼吸ではなくシャウトがいいというのが、最近の医学で分かっている。お金のことは表に出さないと高評価です。

 

シャウトのおかげか、広瀬香美のサポートなのか、2人の話し合いはあっさり終わった。Mちゃん曰く、

 

私は、男性に抵抗があるのでここに登録すれば、何か変わるのかと思った。

だけど、結婚もイメージできなし、私は一生結婚できないと思うんだよね。ここに登録したことが間違いだったかも。 

  

ここにやってくる人は、みんなそれぞれの悩み、考えを持って集まってくる。お金持ちの男を捕まえる!と息巻いている女子だっていても、おかしくない。それぞれが抱えている背景を理解して納得しないと、なかなか前には進めないわな。

 

好き、嫌いっていう軸だけで語れない難しさがあるね、頭が悪い俺には難しすぎる。完全に理解するには、まだまだ時間がかかりそうだ。死ぬまでに理解できればマシかも。

そう考えると、結婚適齢期が近づいてきたから、その時付き合っている相手と結婚しましたっていうのは正しい選択なのかな、と考えてしまいました。