1勝100敗 婚活回想録

婚活体験談をおもしろ、おかしく書いてます

お見合いデビュー

俺は、成立した彼女のプロフィールを熟読した。仕事や趣味はもちろん、自己PR<から読み取れることも記憶した。写真を拡大して、本当にかわいいのか?や、胸が大きいのかといったエッチな想像をすることは必須だ。怠ってはいけない。

彼女のプロフィールを記憶するだけではダメだ。俺は何をどう話そうかを一生懸命組み立てた。これを話してみたい、あれを聞いてみよう。

俺は徹子の部屋黒柳徹子にならなくてはいけないのだ、笑っていいとものタモリだ、どうやら、お笑い芸人になる必要はなさそうだ。

 

当日、私は指定された喫茶店のようなところに、ノコノコと出かけていった。どんな人が来るのか楽しみな反面、少し恥ずかしさもある。 店に入り、席に通されるとまだ相手は来ていなかった。俺は実は人見知りをするから、こういう場面は実は得意じゃない。緊張のあまり、周りをキョロキョロしたい衝動を抑えて、さも遠くを見ていましたという体裁を整えて待っていた。石像のように背筋を伸ばして待っているのがいいのだろうか?なんか「いかにも」って感じじゃないか?こういう時は、こうやって待て!って雑誌に書いてあっただろうか・・・記憶にはない。

 

確か写真とプロフィールからすると、ショートカットの150センチ台の女子が来るはずだ、身長はともかく顔は全く同じということはないだろうと、俺はタカをくくっていた。「お待たせしましたぁ」と可愛い声でやってきた女子は、なんということか写真通りの子であった。

スキー場では可愛さ3割増しの法則がある、アップル製品は、買ってもHPのイメージのようなオシャレな生活はできないという暗黙の了解がある、だからお見合い写真だって、実際はそこまで可愛くなかったでーすというのがお約束じゃないか!!彼女は見事に裏切ってくれた。俺はそういうサプライズが大好きだ。さてさて、興奮を隠しながら、落ち着いて自己紹介をして戦いが始まったのだ。 俺は事前準備をしておいた、完璧な進行で話を始めた。徹子もタモリも、もはや俺には勝つことができない。完璧なシナリオと演出、そして秒刻みの進行。彼女はゲームをしたり、友達とゴハンを食べに行くことが多いと、休日の過ごし方を教えてくれた。

俺はゲームをやらないから、興味を持ってゲームのことについて、いろいろ教えてもらった。よほどゲームが好きなようだ。俺は彼女のことをもっと知ろうと思い、あれやこれや質問をした。彼女は話をしてくれるが、どうもいまいち歯車が合わない。この時は必死だったので、気がつかなかったけど、今思えば彼女から俺に話を振ったことはほとんどなかった。

俺は焦ってきた。手に汗をかいていた。膝ががくがくしていた。 顎はがくがくしていない。ここまで来て、場をひっくり返して盛り上げるのは、とんでもなく難しい。できるんだったら、とっくにやってるよ。

だんだんと、口数が少なくなり、たまに思い出したようにあお互いが口を開くやつだ。1時間は一緒にいろと言われたけど、これ意味があるのか? 交流パーティでもこういうやつあったな。。。何回経験しても、これは慣れない。開き直って下ネタの一つでも言わないと割が合わないけど、そんなこと言える空気でもないんだ、これが。

もう相性の問題だ。お互い苦痛の中、1時間とりあえずお茶を飲んで帰ることにした。こうして、俺の婚活の最初の一歩は終わった。終了後、俺の面倒を見てくれている彼女から「また会いたいと思ったか?」と連絡があった。

 

転んでもタダで起きるなという諺がある。そして、俺はケチだ。今俺が断れば、それですべてが終わる。しかし万が一、彼女がまた会いたいと言ってくれていれば、儲けものだ。という邪な気持ちに支配されて、「もう一度会ってみたい」と言ったのだ。どう考えてもあんなぎくしゃくしたお見合いで、「また会いたい」とは、図々しいだろ。まぁ、相手からの結果を待つだけだ。

 

結果は、「ご縁つながらず」でした。 そりゃ、そうだよな。

こうして、俺の初体験は甘酸っぱく終わったのだった。