1勝100敗 婚活回想録

婚活体験談をおもしろ、おかしく書いてます

しょっぱなから態度が悪い女登場

前回、連絡先を交換したもう一人の子、Rちゃんとの食事は、お互いの予定の都合上1か月先になったので、その間も俺はこつこつと婚活をしている。

お見合いというのは、男はスーツが基本なそうな。

確か、あれは初夏だか夏だか、それくらいの頃だった。この日は特に天気が良くて、スーツの身からすると、「あちーよ」の一言に尽きる日だった。

俺は汗をかかないように、八艘飛びのごとく影から影にとび移り目的地へ向かった。その運動のせいで、かえって汗をかいてしまったのだが。

 

おや、先方に綺麗な装いの女性がいる。結婚式だろうか?それとも友達と遊びに行くのだろうか?俺と歩いている方向が同じだから、距離を置いて彼女の後を追った。こういう行為を、十把一絡げにしてストーカー行為だと言われるが、俺は方向が一緒だから、結果ついていくような形になっているだけだ。尾行と言われた方が、まだかっこいい。

 

その彼女は、とあるビルに吸い込まれるように入っていったので、ここで尾行も終わりだ。俺は俺で目的地の方向に進まないといけない。男には目標に向かって黙って歩かないといけない時がある。それはまさに、今この瞬間だろう。

しかし歩けど歩けど、指定されたビルが現れない。目の前にあるのは、日が当たらないカフェがあるだけだ。こんなに天気がいいのに、店内は少し暗めだ。さては、北向きの店だな。店長、店の作り間違えてたね。

 

そんなお節介を焼きながら、少し焦りを感じながらビルを探すと、どうやら先ほどの女性が入ったところが、そのビルだったことが分かった。

本当にこの場所分かりにくいよ。

 

俺のこのビルでお見合いをするってことは、さっきの女性もその可能性が高い。

俺は小走りでお見合い場所のロビーに入っていった。いたいた、先ほどの女の子だ。前からの姿を初めて見たが、想像通り綺麗な方だ。かなり気合が入っている。男はスーツだから簡単だけど、女子は着るものを選ぶのは大変だよね。

ただ、残念なことに、俺の相手ではなかった。彼女は後から来た男性と一緒にラウンジに入っていった。俺もあの子とお見合いしたいなぁ。

 

今日の場所は予約ができないラウンジだから、先に行って場所を取っておけというお花見型だ。30分以上前に来たのに、生憎満席だ。なんてこったい。

いくら、先に場所を取っておけと言われても、満席のものは仕方ない。お見合い相手が来る前に、スマホでいくつかのカフェを探したが、どこも今の場所から1キロ弱離れている。いくつかに電話をしてみたが、どこも満席だと言う。

こいつはお手上げだ。可愛い子にうつつを抜かしているから、こうなるのである。

反省だ。

俺は、スマホで仲人に事情を説明して、近所でお見合いに使える店があるのかを相談した。出てくる店は既に俺が電話して断られているところばかりだ。最後は、「そこら辺に何かあると思うから一緒に探してごらん」という他人事のような返事だった。役立たず、どうせ冷房が効いた部屋でゴロゴロしてるはずだ。

 

到着したお見合い相手の彼女に、席が取れなかったこと、待っても40分ほどかかることを伝えた。彼女は、つかつかとラウンジの店員に歩み寄り、「具体的にいつ入れるかって教えてもらえませんか?」と、けんか腰で問いただしていた。店員にも俺にも聞こえるように、はぁとため息をついて、どうしますか?と俺に冷たい言い方をしてくる。

初対面で、いきなり怒りむき出しはダメだろう。

俺は、北向きの暗い店しか周りにないことを伝え、不満げな彼女をなだめながら、誘導した。

 

これはあなた(俺)が悪いわけじゃなくて、仲人が段取り悪すぎる。予約取れない店なら最悪のこと考えて、バックアップの店考えておくべきじゃないの!?と、怒り心頭だ。非常にご機嫌斜めだ。

お見合いが始まる前から、こんな調子だから、いざカフェで話初めても、全てにトゲトゲしている。下手に話題を出せないし、相槌も打てない。しかも、全く冗談が通じない鉄の女だ。店内以上に暗い俺の心は暗い。

この時点でもうNGだし、「気持ちよく帰ってもらいたい」なんて気持ちもない。こっちが気分悪いくらいだ。時間が来るまで、頭の中でひたすら山手線の駅名を唱えていたよ。山手線に助けられて、このお見合いは乗り切った。JRに感謝をしないといけない。

払いたくもない会計をして、俺は他に用事があると言って、すぐにお別れした。

 

お返事はどうなったのか知りたい? お断りしました。

(ちなみに彼女からは前向きな返信だったそうです)