1勝100敗 婚活回想録

婚活体験談をおもしろ、おかしく書いてます

コンビTとの再会 その2

俺は、コンビTとは後で確実に再会できるということを信じ、目の前の女子達に集中することにした。同じグループの男2人にお構いなく、俺は喋った。いつも用意しているスタンダードな話題を出しつつ、時折エッジが利いたジョークを繰り出した。女子達も準備していた愛想笑いと、それ相応の相槌をうち、表面上は盛り上がっている場を演出していた。茶番ではないか。こんな茶番のために、会費払ってるんじゃねーよ。金返せ。

 

あと5分あるから、とりあえずなんかしゃべらないとねー。

そうだよね5分って意外と長いよね。

誰かなんか話題出してよ。

というあからさまな会もあったほどだ。

ここまでくると、男女が一致団結して「残り5分をどう耐えるか?」という共通目標に向かっていくことになる。下手に気を遣って喋るより、こっちの方が親近感が湧く。

BBQ合コンみたいな感覚だ。この場には炭火も焼け焦げた肉もないけど、俺たちは「残り5分」というトウモロコシが完成するのを、じっと火を見つめて(グラスを見つめて)待っていた。

 

各テーブルを訪問するごとに、社交辞令として連絡先を交換した。俺はその中でも何人か「もう少し話してみたい」女子を見つけ、LINEの連絡先交換をした。

このLINEの連絡先を大多数の人間と一度にやると、誰が誰だかわからなくなる。10分おきに数人と連絡先交換するので、全部覚えるのは至難の業だ。だから、俺は、気になる女子のLINEの名前の後に、特徴や話したことを追記するようにしている。

たとえば「ゴウコン スキコ」なら、「ゴウコン スキコ ブログの話」と入れておけば、あとでLINEが送りやすくなり、そこからまた盛り上がることができる。女の子が俺に興味を持っていない場合は、こんなことが起きるはずはないということは、今日は忘れてもいいことにしよう。

 

そして、ついに、俺はコンビTのテーブルに辿り着いた。

鬼が島に着いた桃太郎だ。2人しかいなかったけど、犬と猿と雉は使い物にならなかった。聖闘士星矢なら、12宮全て突破して教皇の間に辿り着いただ。

ドラクエに例えるなら、…さすがにもういいや。

この時、俺は切り出し方で少し迷った。「お久しぶりです」がいいのだろうか?それだと、前回良い印象を与えていなかったとなると、マイナスからのスタートになる。これは避けたい。それとも、以前会った時から日が経過しているので、すっとぼけて「初めまして」がいいのだろうか?

この時の、懸念は「以前会ったよね?」という返しが来た場合だ。

 

「こんばんは」がシンプルだろうか、「初めぶりです」「お久しまして」という、意味不明な曖昧な言葉にしようか?いや、後半の2つはバカと勘違いされる。

なので、俺は「こんばんは」にすることにした。

しかし、コンビTは電光石火のごとく、俺たちに「初めまして」と言ってきた。

俺は彼女たちに忘れられていたようだ。マイナスの印象どころではなかった。俺は前回のパーティでは空気扱いされていた、one of themだった。これはひどい。少し寂しいが、これは逆にチャンスとみるべきだろう。

俺は事務的に自己紹介をして、彼女たちの自己紹介を聞いた。もちろん、既に知っているから、驚きも何もないのだが、ところどころで興味があります!と臭わせる反応をしないといけなかった。体臭、口臭を臭わせるのは、このパーティではご法度になっていることを、あとからパーティのスタッフから聞かされた。Tシャツ男が途中で帰ったのは、これが原因だったようだ。

 

俺は遂に温存していたパワーを全開にしてハッスルハッスル~♪

コンビTは、可愛いくノリがいい子と、美人で少し物静かそうな2人のユニットで構成されている。アナと雪の女王のエルサとアナの実写版だ。

アナは話しやすいので、今後デートに誘っても楽しくなる自信がある。エルサの方は俺好みの美人だ。俺はどんどん2人としゃべったが、アナとエルサに「俺は余裕がある大人の男性ですよ」アピールもしないといけないので、一緒に回っている男2人にも話をさせるチャンスを与えた。男2人は不慣れながらも、一生懸命頑張った。そして、俺は彼らをサポートしてあげた。俺の印象が良くなるために。ほら、俺ってえらいでしょ?

 

なぜか長いと感じた10分をクリアして、俺はコンビTの連絡先を入手した。俺は遂にやり遂げた!富士山にもエベレストにも登ったことはないが、それ以上の達成感だ。もっとも、つまらなくても各テーブルの異性とは連絡先交換がマナーなので、だれでも入手できるのだが。