1勝100敗 婚活回想録

婚活体験談をおもしろ、おかしく書いてます

久しぶりの異業種交流会

俺はこの日、いつものようにスーツを着てラウンジに向かうことはしなかった。

毎週、同じことをやっていては疲れるし、芸がない。

その代わり、俺はオシャレな服を着てパーティ会場に足を運んでいた。

今日は異業種交流会の日だ。聞こえはいいが、出会いを求めている男女が集まってぴーちくぱーちく喋るやつだ。

お見合いと違って、肩ひじを張る必要もないし、緊張することもない。

友人と一緒に3人で参加だ。これと言って仲良しというわけではないのだが、かといって嫌いあっているわけでもない。3人とも出逢いに飢えていただけだ。

 

もしかしたら、その日のうちに魅力的な女子といいことがあるかもしれない。

期待と股間を膨らませて、早足に会場に向かった。どこで誰が見ているか分からないぞ、偵察兵は人ごみに紛れて俺たちを観察しているはずだ。

こういう焦りは、すぐに偵察兵に見つかって、余裕がない男と見做されて減点になるため、落ち着いて行動をすることが大切だ。

落ち着いて行動しなくてはいけない代表格としては、避難訓練があるが、実際は机の下でスマホをいじっているものだ。

今日は避難訓練ではないので、机の下にもぐることはないが、連絡先交換でスマホを出さないといけないのだ。

 

会場は男女合わせて50人くらいいただろうか。

みんな思い思いに行動をしているなんて、行儀のいいものではない。出逢いを求めた男女入り乱れの平成合戦だ。あっちでも、こっちでも勢いがあるトークが聞こえている。俺もこの合戦の波に乗って重低音を効かしたトークで女子たちを落としていかないといけない。

俺は気になる2人組の女子(コンビTと呼ぶこととしよう)に定めをつけて、ずかずと話しかけにいった。

ここでのポイントは、ハリウッド映画のようにカッコつけて話しかけてはいけないということだ。自分はブラッド・ピットになりきっても、相手はアンジェリーナ・ジョリーになってはいない。アンジェリーナ・ジョリーにならなくてはいけない、という自覚すらないはずだ。

なので、普通の話し方が、しっくりくる。

 

そういえば、昔予備校の物理の先生が「カッコつけて間違えるくらいなら、ださくても確実にできる方法で解くべきだ」と言っていた。

俺はいい言葉だなと思った。

 

彼女たちとは10分程度話をしただろうか。うわべだけの会話が主で、もう一歩突っ込んだ話題にまで入れなかった。しかも連絡先交換ができる雰囲気にすることすら、彼女たちは許してくれなかった。

これは俺に非があったと思っている。普通に喋ればいいのに、ブラッド・ピットが登場してしまったからだ。あんだけ、アンジェリーナ・ジョリーはいないよ!って自分に言い聞かせていたのに。

 

俺は次から次に話かけに行く勢いだったのだが、仲間2人はどうも大人しい体質なのか「いや、ちょっと」と怖じ気ついて、グラス片手に男二人で固まってしまった。俺は、こいつらと喋るために、高い会費を払ったわけでもないし、目の前の脂っこいパスタのためでもない。ただ、食事は料金に含まれているから、たらふく食べないと損だ。

俺は一人で、多くの女子に話しかけた。女子2人でも3人でも躊躇せず話しかけた。しかし、多勢に無勢でグループの男たちが割り込んでくると、どうしても負けてしまう。あいつら応援に来いよと思って、会場中を探すと、端っこの方でケーキを頬張っている。俺のケーキは残しておいてくれ。

 

結果、多くの収穫もなく、友達にも裏切られ、俺は力尽きて灰になり、そして星になった。

しかし、この会にはなんと2次会という敗者復活戦、神のご慈悲が用意されていたのだ。もちろん参加するに決まっている。2次会の場所に移動する際、さっきの2人組コンビTがいるかを、確認したが姿はなかった。帰ってしまったのか、他の男たちと別で2次会をやっているのか。存在するのかさえ分からない男に嫉妬を覚え、あの時連絡先交換をしなかったことを悔やんだ。

 

2次会は男女の数は約半数になっていて、よく見ると知らない女子ばかりだ。1次会であんなにもがいたのに、まだまだお宝があったってことか。その中に、俺好みの子がいた。長い髪が印象的でクールな雰囲気を持つ子だ。今宵、俺のシンデレラは、このクールちゃんだ。俺は尻尾を振って話かけた。ブラッド・ピットジョージ・クルーニーも登場しなかった。登場したのは、お調子者の日本人の男だけだった。

クールちゃんは、最初は静か目に話を聞いているのが主だったが、場が和むと緊張はしているものの、それなりに喋ってくれる。俺の婚活の中でも上位に入る楽しい時間だったはずだ。俺はクールちゃんと連絡先を交換した。

帰りの電車で、俺はクールちゃんに早速お礼のLINEを送った。あと、コンビTの連絡先を入手できなかったのは悔しかったな。あのとき食い下がって連絡先を聞いておけば…俺は、結構引きずるタイプだ。あまりいい性格とは思えない。

しかし、近い将来俺はそのコンビTに再会するんだな、実は。

そんなこと、当時全く考えられなかったけど。

 

しょっぱなから態度が悪い女登場

前回、連絡先を交換したもう一人の子、Rちゃんとの食事は、お互いの予定の都合上1か月先になったので、その間も俺はこつこつと婚活をしている。

お見合いというのは、男はスーツが基本なそうな。

確か、あれは初夏だか夏だか、それくらいの頃だった。この日は特に天気が良くて、スーツの身からすると、「あちーよ」の一言に尽きる日だった。

俺は汗をかかないように、八艘飛びのごとく影から影にとび移り目的地へ向かった。その運動のせいで、かえって汗をかいてしまったのだが。

 

おや、先方に綺麗な装いの女性がいる。結婚式だろうか?それとも友達と遊びに行くのだろうか?俺と歩いている方向が同じだから、距離を置いて彼女の後を追った。こういう行為を、十把一絡げにしてストーカー行為だと言われるが、俺は方向が一緒だから、結果ついていくような形になっているだけだ。尾行と言われた方が、まだかっこいい。

 

その彼女は、とあるビルに吸い込まれるように入っていったので、ここで尾行も終わりだ。俺は俺で目的地の方向に進まないといけない。男には目標に向かって黙って歩かないといけない時がある。それはまさに、今この瞬間だろう。

しかし歩けど歩けど、指定されたビルが現れない。目の前にあるのは、日が当たらないカフェがあるだけだ。こんなに天気がいいのに、店内は少し暗めだ。さては、北向きの店だな。店長、店の作り間違えてたね。

 

そんなお節介を焼きながら、少し焦りを感じながらビルを探すと、どうやら先ほどの女性が入ったところが、そのビルだったことが分かった。

本当にこの場所分かりにくいよ。

 

俺のこのビルでお見合いをするってことは、さっきの女性もその可能性が高い。

俺は小走りでお見合い場所のロビーに入っていった。いたいた、先ほどの女の子だ。前からの姿を初めて見たが、想像通り綺麗な方だ。かなり気合が入っている。男はスーツだから簡単だけど、女子は着るものを選ぶのは大変だよね。

ただ、残念なことに、俺の相手ではなかった。彼女は後から来た男性と一緒にラウンジに入っていった。俺もあの子とお見合いしたいなぁ。

 

今日の場所は予約ができないラウンジだから、先に行って場所を取っておけというお花見型だ。30分以上前に来たのに、生憎満席だ。なんてこったい。

いくら、先に場所を取っておけと言われても、満席のものは仕方ない。お見合い相手が来る前に、スマホでいくつかのカフェを探したが、どこも今の場所から1キロ弱離れている。いくつかに電話をしてみたが、どこも満席だと言う。

こいつはお手上げだ。可愛い子にうつつを抜かしているから、こうなるのである。

反省だ。

俺は、スマホで仲人に事情を説明して、近所でお見合いに使える店があるのかを相談した。出てくる店は既に俺が電話して断られているところばかりだ。最後は、「そこら辺に何かあると思うから一緒に探してごらん」という他人事のような返事だった。役立たず、どうせ冷房が効いた部屋でゴロゴロしてるはずだ。

 

到着したお見合い相手の彼女に、席が取れなかったこと、待っても40分ほどかかることを伝えた。彼女は、つかつかとラウンジの店員に歩み寄り、「具体的にいつ入れるかって教えてもらえませんか?」と、けんか腰で問いただしていた。店員にも俺にも聞こえるように、はぁとため息をついて、どうしますか?と俺に冷たい言い方をしてくる。

初対面で、いきなり怒りむき出しはダメだろう。

俺は、北向きの暗い店しか周りにないことを伝え、不満げな彼女をなだめながら、誘導した。

 

これはあなた(俺)が悪いわけじゃなくて、仲人が段取り悪すぎる。予約取れない店なら最悪のこと考えて、バックアップの店考えておくべきじゃないの!?と、怒り心頭だ。非常にご機嫌斜めだ。

お見合いが始まる前から、こんな調子だから、いざカフェで話初めても、全てにトゲトゲしている。下手に話題を出せないし、相槌も打てない。しかも、全く冗談が通じない鉄の女だ。店内以上に暗い俺の心は暗い。

この時点でもうNGだし、「気持ちよく帰ってもらいたい」なんて気持ちもない。こっちが気分悪いくらいだ。時間が来るまで、頭の中でひたすら山手線の駅名を唱えていたよ。山手線に助けられて、このお見合いは乗り切った。JRに感謝をしないといけない。

払いたくもない会計をして、俺は他に用事があると言って、すぐにお別れした。

 

お返事はどうなったのか知りたい? お断りしました。

(ちなみに彼女からは前向きな返信だったそうです)

お見合いとデートは別の顔

 

お見合いで会おうと、合コンでもナンパで出会おうと、初デートは楽しみだ。

俺は今までたくさんの女性とデートをしてきたが、毎回違う楽しみや緊張があって病みつきになる。

 

俺は待ち合わせの時間の少し早めについた。帰国したばかりの人間でも、分かり易い場所だ。俺は30分前に到着して周りを散歩した。

いざお店に行こうというときに、迷ってはカッコわるいから、必ず道順の下見をしている。スマホを見ながら、そこを右に行ってというのも、イケてない。

こういうところは、俺は余念がない。ちなみに、ほかのことはいい加減だ。

中途半端という言葉は、俺のために作られた言葉に違いない。

 

さすがに味の下見はできないので、食べログや他のネット情報で仕入れている。

食べログに書いてあることが、全て正しいとは思わないし、投稿者と俺の好みが違っていることだってある。参考にはなるが、決して鵜呑みにしてはいけない。騙されるぞ。

 

そんなことはどうでもよくって、待ち合わせの時間の5分前には駅に戻って彼女を待った。ええ、待ちましたよ、しかし約束の時間になっても、10分待っても来ないのだ。

おかしい…。彼女に電話をしてみると、どうも指定した場所と違う出口から出てしまったということだ。分かり易い駅でも帰国者には難しかったようだ。

しかし、「ここら辺昔から詳しいから、お店に近そうな出口に行った」ということだった。

 

詳しいなら最初からそう言ってくれよ。しかもなんで勝手に一人で違う出口にいるんだよ、それなら連絡してくれよ。

これって、お見合いで会った時と同じだ。分かりにくいところに一人でいるやつだ。まぁ、いいだろう。彼女はかくれんぼが好きなんだろう、きっと。

 

 

予約したカレー屋に入ると、改めて俺は、また会ってくれたことのお礼を言わないといけない。大事に扱わないといけないんだよ、ちょっと油断すると、落として画面が割れてしまうスマホのように。

ちなみに俺はスマホにはフィルムも、カバーもしていない男気持ちだ。

 

今日の俺たちは、リラックスしたカジュアルな雰囲気なんだが、話題が思いつかない。

俺は元々話すのが好きだし、それなりの話術もあると自称しているのだが、話題が思いつかないのだ。この前のお見合いでほとんど聞いちゃったからさぁ。

そこから話広げろよ!

世の中上手くできたもので、今日は彼女の番だ。私は海外で暮らしていたので、新しい文化に馴染むのが大変だ、この国は肌に合わないとのこと。

 

でもさぁ、あんた海外にいたのって4年間だけだよね?その前はバリバリ日本の会社で働いてたって言ってたよね?なのに、ずーーーーっと海外で生活してましたという言い方は語弊がないかい?

その言い方が鼻につくので、俺は遠回しにそのことを指摘してみた。

俺はこういうやつが嫌いだ。自分は周りより優れているとか、周囲を見下す人間だ。好きな人はいないだろう。

 

どうやら、その4年間で過去の日本人を捨てて現地の人間となったということを、これまた自慢げに説明してくれた。そして、会社の愚痴なのだ。人間関係が~、仕事のやり方が~、あれもこれも~~。だから、キレてやったさー、だって。これだから日本の会社って私には合わないのよ。

 

さも、自分が外国人化されているのかを、たっぷり聞かされた。

聞かされる俺はちっとも楽しくない。高校の古典の時間と同じだ。

違うのは眠くならないことと、目の前に美味しいカレーがあることだけだ。こうなったらなり活用の一つでも言わないとやってられない。

なら. なり. に. なり, なる, なれ, なれ.~エビバディセイ!

 

お見合いの時は、楽しくて品があって女性らしいと思っていたのだが、実際は偉ぶった愚痴ばかり言う女性だったということだ。

真夜中は別の顔っていう小説があったが、お見合いは別の顔だ。これが本性だなんて、お見合い中に見破れるものなのか?

 

でも、ちょっと待ってくれ、俺もそういうことやってないか?

そう言われると、背伸びをして自分がいい男であることを演出してるよな。少し盛って誇張して話すときもあるよな。うーむ、これはお見合いの弱点だ。結局は騙しあいだな。今日のデートは、この女性とは合わないということが分かった、貴重な時間だったと思おう。

 

別れたあと、俺はココイチに行ってカレーを食べなおしてやったよ。

一人でココイチは寛げていいなぁ。

連絡先交換、そして初デート

 

お見合い相手にまた会ってみたい、または断るという希望は、翌日の午前中までに知らせないといけない。優柔不断の俺には、かなり厳しい。いや、逆にこれくらい短期間で決める方がいいような気もする。どちらにしろ、ゆっくり考えてみましょうなんて、悠長なことは言わせてくれない。

吉野家では、店に足を踏み入れた途端に「並み、つゆだく!」と間髪入れて言わないといけない。

ラーメン屋なら「並み、固め味濃め!!」と呪文のように言うべきである。

婚活もそれだ。「会いたい」「今後会う必要はない」を翌日の午前中までに吠えないといけないのだ。

俺は、「会いたい」いや、本当はまた会えたら儲けもんという、安直な考えでいる。だって、相手が嫌ですって言ったら、どっちみち会えないんだから。

 

あとは相手の反応を待つだけだ。

気になる。1時間おきにメールをチェックするが、どうでもいいメールばかりで、肝心なメールがこない。

大体こういう時って、肝心なものは中々来ないけど、どうでもいいものはわんさか来るんだよな。

 

結局、連絡が来たのはその日の夜だった。俺が希望した2人から「また、会ってやるよ」というOK返事が来た。

嬉しい。いや、本当に嬉しいっすよ。

 

だって、お断りされると、自分が否定された気持ちになるんだよ。約1時間で何がわかるんだよ!それだけで断るなんてひどいだろ。もうちょっと会ってみようって思えよ。

これって告白して断られるより堪えるんだな、実は。

経験した人にしか分からない思いだ、これは。

まぁ、俺も昨日の3人目にはしちゃったけど、ごめんなさい。

 

同じ経験した方、是非連絡ください。被害者の会を結成しましょう。

 

OKになる、つまりお互いがもう少し会ってみたいという状態になると、

お互いの連絡先と氏名が送られてくる仕組みになっている。

「あとはお二人でまぁ、よしなにやってくださいよ」 と言ってるのだ。

 

仲人をしてくれている彼女曰く、「当日すぐに“電話で”連絡をしろ。まずはお礼をしろとアドバイスをくれていたっけ。

 

俺は、二人にそれぞれ電話をかけた。幸運にも出てくれて話ができた。

一人は「えーっと、あー、昨日お会いした方ね」。

あまりいい感じはしないよな。

 

短い時間だったけど、楽しかったので、今度は食事でもしながら話をしましょう

 

王道の誘い方をして、二人と会うことになった。

1回戦目に会った女性・・・Iちゃんとしましょう…Iちゃんとはランチをすることにした。Iちゃんの希望もあってカレー屋です。

しばらく海外にいたこともあり、都内は良く分からないということなので、分かり易い駅付近のカレー屋を予約した。

 

今週の土曜に彼女とまた会える、本当に楽しみだ。

お見合い 3連荘 3回戦

2回目に会った女性は、また会いたいのか?と言われると、「はい」と即答できるようには感じなかった。でも、NOでもない。これは彼女の魅力というか、優柔不断の自分の性格に起因するのだろう。

 

そういえば、昔から友達に、優柔不断だから彼女を決められなく逃げられるんだと言われた。ファミレスでもそうだ。どれを頼もうか、悩んでしまう。

表示されているカロリーが高い方が美味しいんだって誰かが言ってたっけ。女子はそういう数字はないから、分からなくなる。

とりあえず、断れるならそれで構わないから、もう一回会ってみたいと返事をすることに決めた。

 

さて、今日最後の戦いだ。

さっきのラウンジから歩いて10分ほどのところに、次のラウンジがある。仲人、気が利くな。営業周りみたいだけど。

気がつけばもう夕方だ。朝は勢いがあったが、さすがに疲れてきた。緊張による疲れは、身体の疲れだ。最後の女性に期待をしながら、プロフィールを確認しながらラウンジに向かった。

年齢は、俺とそこまで変わらない。しかも、美人系の可愛い人だ。プロフを読むとこれといった趣味はないようだが、なぜか会ってみたいと思った。

だけど、疲れている頭では話題を出すのは至極難しい。まぁ、あとは勢いで行くか。

 

到着したラウンジは、バーみたいなところで、薄暗く雰囲気があった。

え?ここでやるの??相手の顔良く見えないじゃん。

夜はこんなバーになってるなんて、絶対知らないよな、仲人たちは。一度下見に来てくれよ、よく今まで文句出なかったな。

 

今更文句を言っても仕方がない。仲人は協力してくれているのだ。そこは感謝しないと。ブツブツ言っていると、相手の方が到着した。

「よろしくお願いします」と、言われたけど

 

他の方と間違えてませんか?

 

写真とは全然違う人が来てるよ、なんでなんで?!

間違いだよなって思い、名前を確認すると、正しいのだ。ここまで違いがあるとは。

容姿で人を判断してはならん。俺はバカの一つ覚えでアイスティーを注文して、前の2人と同じように、同じ話題を同じ順番でしていった。

話題が一巡したので、こっそり時間を見たらまだ20分しか経過していないのだ。

なんで?40分ほどは話した気分なのに。

どうも、話が広がらないのだ。俺が悪いの?彼女の反応が悪いの?

 

ルール?指示通りに進めるならば、あと40分話をしないといけない。

もはや、誰の責任かなんてどうでもよくて、あと40分の話題作りに必死に頭をフル回転させた。しかし、しょせんない頭をいくらフル回転したところで、いいアイデアが浮かぶわけではない。

あばれはっちゃくがうらやましい。

 

そこからの細かい記憶は正直ない。

多分、彼女の仕事が興味深いものだったので、その話をして、さりげなく盛り上がったはずだ。

なんだかんだで1時間持ちこたえ、お会計をして帰ることにした。

俺は別れたあと、すぐ「辞退」の連絡を仲人に入れた。

 

結局、この日の3連荘の結果は、

1件目:また会いたい

2件目:とりあえずまた会ってみたい

3件目:辞退

 

となった。さて、みんなからの返事はどうなんだろうか・・・・。

 

 

 

 

お見合い3連荘 第2戦

*更新が遅くて申し訳ありませんでした**

 

座っている彼女は、背筋がピシッと伸びて、椅子に浅く座っていた。

お見合いだから、そういうところはちゃんとしているんだな、でも彼女からは緊張している感じが読み取れた。そりゃそうだよな、俺だって緊張する。

自分の話題が彼女に刺さるのか、面白いものを彼女も面白いと思うのか?、彼女もしゃべってくれる人なのか、はたまた黙ったままなのか…お見合いの前は、必ず悩んでしまうんだ。彼女のプロフィールに沿った話題を出すようにしているんだけど、その喋りやすい話題すら、はい、いいえのみで終わらせてしまう人が多いんだ。そのようになった場合は、本当に焦る。

開き直ってしゃべることで、話題がそれなりに盛り上がることを経験したが、

どういうわけか緊張というのは、伝染するもので、相手が緊張していると自分も緊張してしまう。そうなると俺も緊張という呪縛にかかって開き直ってということができなくなる。蟻地獄のようにもがけばもがくほど深みにハマってしまう。

だから、俺はいつも早い段階で相手の緊張をほぐすことに力を注いできた。「注いできた」と過去形なのは、緊張をほぐすことの重要性に気が付くのは、もっともっとお見合いをした後なんだ。

 

彼女に待たせたことを詫びて、自己紹介をして、俺はテーブルを挟んで反対側に座った。彼女はカフェラテを注文して、俺はアイスティーを頼んだ。お見合いの中で、アイスコーヒーを頼んだ女子を俺は見たことがない。頼むのはかわいらしい、女子っぽい飲み物ばかりだ。

お見合いのマニュアルに書いてあるんだろうか、服装はかわいらしいワンピースで、華美の服装は避けて、アイスコーヒーも避けて、ブラックなんてもってのほかだ!!

 

写真とは違うのだが、相手もそう思っているに違いない。「写真のイメージと違うので帰ります」は通じないんだな。チェンジができるのは風俗とファミレスのドリンクバーだけだ。

彼女は、ドラマの影響で今の仕事に就いたこと、学生時代の部活の話をしてくれた。

この学生時代の部活の話は、お見合いでは有効だ。話をしているうちに、彼女の緊張が少し解けてきて、自然な笑顔をちらほら見ることができた。

彼女の話題に応えるように、自分も学生時代の話を面白おかしく喋った。過去の数えきれない合コンで使っている持ちネタなので、少しくらい緊張していても澱みなく喋れる。

お約束の笑いを取るところでは、彼女もクスッと笑ってくれた。

 

あっという間の時間だった。「そろそろ行きましょう」と言って、終わりにすることにした。この終わりにするときって、なんて切り出せばいんだろうか?「1時間経過したから、もう終わりでーす」と言うのか、置時計や砂時計なんてないから、終わりにするきっかけが本当に分からない。なので、俺は相手のお茶が終わって、一息ついたら「それじゃ、そろそろ行きましょうか」と言うことにしている。

「そろそろ、行こうか」ってラブホに誘うみたいで、違和感を感じるだが、これが一番しっくり来る。

 

彼女と別れた後、今の彼女とまた会いたいか?そんなことないのか?と、今の1時間で感じた自分の気持ちを反芻させながら、俺はこの日最後の場所に向かった。

 

お見合い3連荘 つかの間の休息

お見合いって1時間喋るだけって思っていたんだけど、実際は本当に疲れるんだな、これは。やった人じゃないと分からないと思う。

仕事中に1時間喋ってる方が楽だ、合コンで1時間喋ってる方が気楽でいいわ。

どうせ喋るだけなんだから、1日で3組入れちゃおうぜって言ったやつは。

それなりに楽しく話せたのに、こんなに疲れたんだから、この後の2回が盛り上がらなかったら、それは大変だよ。ジムのトレーニングよりも効く。

 

さて、2件目は、ほお、今度はお店を予約してくれているという。これは便利だ。時間になったら、そこに行けばいいだけの話だからな。次の時間まで1時間ほど余裕があるから、何か食べるか、そうしよう。いくら疲れているからと言って、たくさん食べるのはご法度だ。汁が飛んでスーツやシャツにシミができるのもダメだ。あれもダメだ、これもダメだとやっていくと、お見合いの移動時間で食べれるものってほとんどないことが分かった。ダイエットの人にはうってつけだぞ、このお見合い活動は。

 

俺もダイエットをしているから、これは本当にいいチャンスだ。しかし、1時間の余った時間をどうしていいのか分からない。大体1時間つぶせと言われたら、何をするんだろうか?マッサージとか?ネットカフェとか?風俗っていうやつはいないだろうけど。

俺は、今日は素直な子になろうと決めて、本能のままに、目の前のマクドナルドに入った。東京ではマック、大阪ではマクドって言うんだよって、友達が言ってたな、たしか。俺はドナルドマクっていうけど。いや、そんなこと言ったことない。エムドナルドだ、この言い方の方がしっくりくる。

 

汚れないような食べ物というと、ポテトとナゲットくらいだろう。俺はその2にコカコーラゼロを追加して、席に座った。週末だから、スーツ姿の人はほとんどいない。たまに、見かけるが土日が仕事の職種の人か、俺の戦友といったところだろう。

マクドナルドのポテトって、揚げたてがが来ると美味しいのだが、たまに萎れかけたのが来たりする。あんな元気がないポテトが来ると、これからの2件目で俺も萎れてしまいそうだ。運よく、俺は元気なポテトを食べることができた。ナゲットは5ピースのBBQソースだ。

 

この時間を使って、次の予習をしなくてはいけない。仕事の準備は悪いが、こういう準備は抜かりがないぜ。スマホを取り出して彼女の情報を見る。年齢は同じ、顔は目がぱっちりしていて可愛い、こういうタイプ好きだぜ。趣味は、音楽と旅行と、読書となっていて…これ、ありきたりじゃねーかよ。で、カウンセラーからのプロフィールを読む。当たり前のアピールがひたすら書いてある。こういうのを書くってカウンセラーも大変な仕事だな。

 

大体、彼女のことは理解して、話題にする内容も決めた。さっきの1件目みたく、楽しいお見合いになるといいな。俺はマクドナルドを出て、目的地のホテルに入ると、用意していた歯ブラシを使って、歯を磨き、いざラウンジに向かった。受付で名前を告げて通された席には、既に到着していた彼女が座ってた。

 

2回戦目開始!!